新築当時は、色鮮やかで美しかった自然石乱張り。しかし、3年ほど経つと汚れが気になってくる。たわしで擦っても、なかなか汚れが落ちない。そんな経験をされた方も多いかもしれない。果たして、新築当時のような美しさに戻すことはできるのだろうか?
ここでは自然石乱張りなど、石材の洗浄方法をご紹介したい。
汚れの種類を知る
一言で汚れといっても、様々な種類がある。まずは落としたい汚れの種類と性質を知っておく必要があるだろう。汚れの種類には、酸性とアルカリ性が存在する。酸性の汚れとは、油、ビールなどのアルコール類である。アルカリ性の汚れは、水あか、石鹸カス、さび、尿などのアンモニア系だ。
どんな汚れが付着しているかを確認して、適切な洗浄方法を選ぶことが大切である。
もっとも手軽な方法は高圧洗浄
最近は高圧洗浄機の価格も下がり、購入を計画している方も多いことだろう。様々なタイプが用意され、数々のメーカーが新商品を発売している。少し前はKARCHER(ケルヒャー)が、その代名詞であったが、現在はマキタやRYOBI(リョービ)、日立、アイリスオーヤマなど国内メーカーも参入している。自然石乱張りなどの石材を、簡単に綺麗にするには、実は高圧洗浄機が有効である。目に付く表面的な汚れは、これだけで十分取り除くことができりのである。泥汚れのみであれば、高圧洗浄機で十分に落ちるだろう。
ただ一つ、注意していただきたいことがある。石は天然素材であり、十分な強度を持っていることが多い。しかし、目地はモルタル(セメントと砂の混合物)や目地材(目地専用のセメント)であるということだ。目地は石よりも遥かに柔らかい。目地を洗浄する場合は、ノズルを調整して直噴は避け、なるべく拡散で洗浄する方が良いだろう。
また、ブロック塀を洗浄する際も、十分配慮が必要になる。新品のブロックならそれなりの固さを保っている。しかし、長い年月が経っているものは注意が必要だ。ブロックは建設用語でコンクリート二次製品と言われる。コンクリート二次製品とは、コンクリートを原材料とした人工物である。セメントと骨材といわれる砂利等の混合物だ。目地よりは強固であるが、石ほどではない。
固い順に並べると、石>ブロック>目地だ。高圧洗浄を行う際は、洗浄物の固さに合わせてノズルを調整するように気をつけて欲しい。
※画像:ケルヒャーより
酸性の汚れを落とす
高圧洗浄機を使用しても、落とせない汚れがある。それは、石に染み込んだ汚れだ。高圧洗浄は、あくまで水圧を利用して表面的な汚れを取るに留まる。内部まで染み込んだ汚れを落とすには、化学的洗浄が必要である。
酸性の汚れには、油やアルコール類がある。一般的に泥などの土汚れは、高圧洗浄機でも十分に落とすことごできる。しかし、泥に油分が含まれていると、石には油汚れが残ってしまう。また、自然石のテラスがあるご自宅では、BBQ後にビールなどアルコールが溢れてしまっていることもあるだろう。そのような場合は、アルカリ性洗浄剤を使用すると綺麗にすることができる。酸性の汚れにはアルカリ性を。アルカリ性の汚れには酸性を。ということだ。
私が知ってる中で、最も洗浄力の強い石材用洗浄剤は、MIYAKI(ミヤキ)の「アクロンAB」である。アクロンABは、A液とB液を混合して使用する2液性だ。汚れに合わせて原液〜水で10倍程度まで薄めて使用できる。使用する際は、必ずマスクとゴーグル、ゴム手袋を忘れずに着けなければならない。口や目に入ったり、肌に付くと危険である。こちらの商品は業務用のため、大変高価だ。しかし、洗浄力は絶大なので予算に余裕がある方は、ぜひお試しいただきたい。インターネットで購入できる場合もあるが、こちらの商品は医薬品外劇薬と定められているので、個人での利用は避けた方良い。リフォーム業者に相談するか、洗浄剤メーカーに業者を紹介してもらおう。
また、石材やコンクリートをに染みこんだ油の洗浄・除去に特化したMIYAKI(ミヤキ)の「オリーブ」という商品もある。原液〜3倍に薄めて使用できる。こちらも業務用としておすすめである。
業務用を使用しなくても、ホームセンターで石材用洗浄剤は販売されている。業務用に比べて効果は低いが、汚れによっては十分に綺麗にできる。性質を確認し、酸性汚れにはアルカリ性の洗浄剤を選ぶようにしていただきたい。性質の表記がなくて分からない場合は、落とせる汚れの文言を確認すれば良い。油やアルコールが書かれていればアルカリ性の洗浄剤である。
また、軽度の酸性汚れであれば石鹸や重曹でも落とすことができる。まずはこれらで試してから、次の洗浄剤を考えても良いかもしれない。
アルカリ性の汚れを落とす
上記にも既に書いているが、アルカリ性の汚れには水あかや石鹸カス、サビ、尿などがある。これらの汚れを洗浄するには、もちろん酸性の洗浄剤を使用する必要がある。
私の知る中で、最も強い酸性の石材用洗浄剤は、MIYAKI(ミヤキ)の「ピカソ」である。こちらは一液性になる。綺麗にしたい場所をまず水洗いし、そこに原液〜5倍希釈液ピカソをハケやローラーで塗る。3〜5分放置すると、染み込んだアルカリ性汚れが浮き上がってくる。最後にたわし等で水洗いすれば浮いた汚れを洗い落とせるという具合だ。高圧洗浄機をで洗い流すとより効果的だ。
また、汚れの種類によってMIYAKI(ミヤキ)から「ピタゴラス」や「ビートル」、「インパラス」などの商品が発売されている。落としたい汚れに合わせて選ぶことができる。しかし、いずれの商品もアクロンABと同じく個人のご利用は避けていただきたい。あくまで業務用の酸性石材用洗浄剤である。
アルカリ性の汚れも、軽度であればクエン酸や酢(米酢)を使用して落とすことができる。それでも落ちない場合は、ホームセンターの商品と試すと良いだろう。洗浄面積の広い場合や、年月の経ったひどい汚れ場合は、専門業者に依頼することをおすすめする。
落としたい汚れ種類や性質を確認・理解して、いつまでも美しい自然石をキープしていただければと願っている。