タイルは外構(エクステリア)工事で非常によく使われる資材である。玄関や階段、テラスなど至る所で使用される。あなたのご実家やご自宅でも、タイルが使われている場所があるだろう。このタイルの予備は持っておいた方が良いのだろうか?
答えは「YES」である。
考えていただきたい。あなたがもし、玄関やテラスでものを落としてタイルを割ってしまったらどうだろう。また、何か悪いタイミングで多量の油を含んだ製品や薬品をこぼすこともあるかもしれない。そんな時はタイルを貼り替える必要が出てくる。
人によっては、「そうなった時に新しいタイルを注文すればよい」「予備を置いておくなんて邪魔になる」とお考えの方もいるかもしれない。しかし、タイルは予備を持っておかないと、取り返しのつかないことになる場合がある。
その理由を下記でご説明したい。
国産タイル、国内プロダクトタイル、輸入タイルがある
大きく分けてタイルには、国産タイルと国内プロダクトタイル、輸入タイルが存在する。国産とは、そのままMade In Japanのタイルだ。まだまだ国産で頑張っている商品も存在する。国内プロダクトとは、デザインや仕様などの企画を国内で行い、生産を海外に委託しているタイルである。大手メーカーはこのような商品も多く取り揃えている。輸入タイルは、イタリアやスペインなどからデザイン性の優れたタイルをインポートして販売している。インポート専門で取り扱う商社もある。
住宅やエクステリアでよく利用されるタイルメーカーにはLIXIL(リクシル)グループのINAX(イナックス)やRIVIERA(リビエラ)、名古屋モザイク工業、ADVAN(アドヴァン)、ニッタイ工業などがある。
実際は、多くのタイルメーカーで国産、国内プロダクト、輸入タイルが混在している。カタログ内をよく読むと「Made In Japan」「Made In Chana」「輸入品につき、在庫と納期を確認」などの注書きが書かれていることがある。すべてのメーカーで、すべてのタイルを生産している訳ではないことにご注意いただきたい。
タイルは廃盤になることが多い!?
タイルメーカーのカタログを見ると、「予告なく廃盤」と書いてることが多い。予告なく廃盤は、すべてのタイルにいえることである。
特に国内プロダクト、輸入タイルに多いだろう。国内プロダクトは、売れなければすぐに仕様変更や廃盤をする。輸入タイルは、いつ廃盤になるか分からない。また、売れなければ輸入を停止するだろう。
あなたが経営者であったら、売れない商品よりも売れる商品を販売したいはずだ。住宅にもトレンドがあり、世の中の流れに合わせて商品も変わっていく。
タイルは商品数が多く近似種が多い。そのため、いつの間にか廃盤ということが多々ある。やはり、予備は持っておいた方が良い。
タイルサイズがいつの間にか変わっていることも…?
輸入タイルに多いのが、「予告なしに仕様の変更」という文言である。仕様の変更とはどの程度のものだろうか?30cm角のタイルが10cm角になる程なのか?
数十cmでは仕様変更というより、モデルチェンジだが、実際に数mm変わることがある。輸入タイルは、日本の規格と違うため、301mm角や307mm角などがある。こういった商品が、ある時305mmなどになっていることがあるのだ。
「数mmの違いなんて気にしない」という方はいるだろう。しかし、タイルの目地は一般的に5〜6mmで貼られている。仮に、貼り替えたタイル1枚のサイズが、数ミリ変わった場合どうだろう。その部分だけ目地が細くなったり太くなったりしてしまう。一定の目地幅で、綺麗に貼られているタイルだからこそ、1枚の不揃いが一際目立ってしまうのである。
輸入タイルには特に注意が必要だ。
同じタイルでも生産時期によって色味が変わる!?
一般的に建築や外構(エクステリア)で使用されるタイルは、陶磁器製のものが多い。陶磁器製は、吸水率の違いによって磁器質タイル、せっ器質タイル、陶器質タイルに分けられる。経年変化が少ないことも陶磁器製タイルの特徴である。原料は主に、粘土類と石類であり、鉄や銅、金属化合物(ニッケル、クロム、マンガン、コバルト、アンチモンなど)を混ぜて焼くことで色を出している。いわゆる焼き物である。
焼き物は、その時の環境や混合材料の比率、燃焼温度で表情が変わってくる。基本的には一定の基準で製作されているが、ロットによって誤差が生じることがある。しっかりと管理の行き届いた国産タイルや国内プロダクトタイルなら心配も少ないかもしれない。しかし、販売店では管理ができない輸入タイルでは、誤差が大きくなる可能性が高い。
タイルの予備を用意しておいた方が良い理由として、以上の3つを挙げさせていただいた。国産、国内プロダクト、輸入タイルのいずれも3つのうち1つに当てはまる可能性がは非常に高い。施工後数年経ってから、後悔しないためにも、ぜひ予備のタイルは大切に保管していただくことをおすすめする。
タイルの予備については、業者によっては話しが出ないこともある。設計の中にタイル貼りがある場合は、施工前か、できれば契約前に担当者に聞いてみて欲しい。タイルに余りが出た場合は、無料でもらえることがあるだろう。