上の写真は、東京ミッドタウンの庭園である。なんとも不自然で面白い風景である。なぜ都会の真ん中に、人々はこんなにも多くの植物を植えようと考えたのであろうか。
植物の存在意義
想像していただきたい。見渡す限りビルなどの建物に囲まれた都会の真ん中に、あなたが立たされていたとする。床はアスファルト、建物はコンクリート、そしてその空間を行き交うものは金属質の車や電車である。何もかもが無機質で冷たい人工物である。夏は暑く、冬は冷たい。まるで、人工物に囲まれた檻のようである。そんな無機質な空間で、人々が求めるものはなんだろうか?
このような場所でいつも求められて来たもの…それは自然である。屋内には緑が写ったポスターや広告が存在し、観葉植物や植栽プランターなどが飾られている。屋外では、ビルの壁面を植物で緑化する。都会の中に公園を作り、道路沿いには街路樹や植栽コンテナを陳列する。どんなに文明が発達しようと、人間は植物に癒しを求め、また、無意識に癒されてきたのである。
一戸建てやマンション、アパートでも同じことがいえる。建築物は木造または軽量鉄骨、コンクリートでできた無機質な大型構造物である。エクステリアは、コンクリートやブロック、アルミ等の金属など構造物の集合体である。すべてが固く冷たい構造物のため、そこでの植物の存在は非常に重要となる。植物をひとつ植えただけで、その固く冷たい空間には柔らかさと温かみが生まれる。
植物があることで、生命を感じ、四季を感じ、美しさを感じ、香りを感じ、みずみずしさを感じ、その感覚や感動から自らの人間らしい心を感じることができる。植物とは、人の心に必要な存在である。特に昨今のストレス社会では、植物が人に与える影響は、とても大きいかもしれない。