エクステリアという言葉を説明できる方はどれくらいいるだろうか。なんとなくは分かっていても、しっかりと理解されている方は少ないかもしれない。実際、エクステリア業界の人間でも、説明できない人は多いことだろう。
まだまだ聞き慣れない「エクステリア」という言葉。まずはここから考えていきたい。
エクステリアって何だろう?
エクステリアを英語で書くと「EXTERIOR」である。この言葉はインテリア「INTERIOR」の対義語とされている。インテリアと聞くと、非常に馴染み深い印象を受ける方がほとんどであろう。街中にインテリア雑貨、インテリア家具の専門店があふれている。インテリア専門誌には、おしゃれなインテイリアの写真が所狭しと詰め込まれている。
では、インテリアをベースにエクステリアを考えていこう。例えば、インテリア雑貨とは、主に室内を装飾する小物のことをいう。インテリア家具というと、ダイニングテーブル&チェアーやソファー、テレビ台、ベッドなど家具のことである。
新築住宅を建てられた方は思い出して欲しい。新築の契約を交わした後、建築士の次に打合せを担ったのはインテリアデザイナーではなかっただろうか?インテリアデザイナーとの打合せで、屋内の照明、壁紙、床、カーテンなどを決めた方がほとんどだろう。インテリアとは、屋内空間の装飾品すべてをいう。椅子やテーブルから照明器具、壁紙、床、カーテン、システムキッチン、屋内ドア、壁掛けの時計など、すべてがこれにあたる。
これにエクステリアを置き換えるとどうなるだろうか。インテリアが屋内空間の装飾品すべてであれば、エクステリアは屋外空間の装飾品すべてである。門扉、門柱、表札、屋外照明、アプローチ、駐車場、カーポート、フェンス、ウッドデッキ、テラス、砂利、庭の木や草花もエクステリアということになる。
先に挙げたインテリアデザイナーとは、住宅の屋内空間デザインの専門家である。では、エクステリアにも専門家はいるのであろうか?答えはYESである。住宅の屋外空間デザインの専門家は、エクステリアデザイナーと呼ばれている。
現在では、住宅屋外空間のトータルデザイン専門家として、エクステリア&ガーデンデザイナーと呼ばれるようになっている。庭の木や草花もエクステリアと述べたが、木や草花などの生物が生息する空間は「庭」と定義され、エクステリアとは別にガーデンという扱いになっている。
その理由には、エクステリアデザイナーとガーデンデザイナーの出生が違うことが考えられる。一般的に、エクステリアデザイナーは建築出身者が多く、ガーデンデザイナーは造園出身者が多い。元々は活躍の場が違う両者であったため、無機質な屋外空間(エクステリア)と有機質な屋外空間(ガーデン)とが分けられていたと考えて良いだろう。現在では、エクステリアとガーデンを一空間として考えるべく、専門家の呼び名もエクステリア&ガーデンデザイナーとなった。
次に、エクステリアと外構について考えよう。外構とは「外」の「構造物」である。すなわち、外部の無機質な部分を指している。門扉や門柱、フェンス、駐車場、ウッドデッキなど構造物が外構ということにある。外構とエクステリアは、イコールと考えてほとんど間違いはない。
しかし、ここで少し注意して欲しい。外構はあくまで「外の構造物」である。植物は含まれていない。エクステリアには植物自体が含まれることを考えると、若干の違いがあることに気づく。日本語の表現では、植物は造園に含まれる。
エクステリアと外構、ガーデンと造園、それぞれの組み合わせで考えると若干のニュアンスの違いが生じる。これについては、英語と日本語の言葉の壁とでも考えておくとしよう。
以上から、エクステリア=外構、ガーデン=造園とは言い切れないが、エクステリア&ガーデンと外構&造園は、同じ意味であると考えて間違いない。